決断力とは。リーダー必見!決断力を磨く方法などを解説
決断力とは「切り捨てる」力でもある。それを見極めるためにはどうしたらよいか。
リーダーに必要な要素の一つに「決断力」があります。普段は信頼の置けるメンバーに一任していたとしても、会社の運命を左右する決断は、やはりリーダーが下さなければいけません。
ここで誤った決断をしてしまうと、ビジネスがうまくいかなくなってしまう場合もあります。それではどのようにしたら、リーダーにふさわしい決断力が鍛えられるのでしょうか。
ここでは決断力を鍛える方法について探っていきます。
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この記事の目次
決断力とは「捨てる力」でもある
決断力とは、文字の通り「自分自身で決断をする能力」のこと。朝パンを食べてコーヒーを飲み出勤する・・・・・・そのような日常も多くの決断から成り立っています。日頃から多くの決断をしている私たちが、なぜ大きな決断をする際に、迷ってしまうのでしょうか。
一つの要因として、「多くの要素を持ち続けているために、決断ができない」があります。多くの選択肢があると意識が分散してしまうため、決断する機会が増えてしまいます。要するに迷う要素が増えてしまうわけです。
一流のアスリートは「これ」と決めた事柄をやり抜こうとします。ひとつに絞った道を、余計なことを考えずに進んでいくのです。他の選択肢を切り捨てているわけですね。
決断力とは「切り捨てる力」でもあるのです。まずは「切り捨てる力」のない、すなわち決断力のない人の特徴を探っていきましょう。
決断力のない人の特徴
人の意見を聞き過ぎる
「人の意見をよく聞くリーダー」というと、理想的なトップ像に見えますが、中には人の意見を信頼しすぎて、流されてしまいがちな人もいます。まわりに優秀な人材がいれば良い方向に舵が切れますが、いなくなった途端に良くない方向に流れてしまう危険性をはらんでいます。
自信がない
良い決断だとわかっていても一歩踏み出せないタイプです。決断は責任を伴うため、その責任を全うできる自信がなければ決断は下せません。
このようなタイプの人は、「できない理由」を数えるのではなく「できる方法」に目を向けるといいでしょう。できることを前提にして視点を切り替えることで、決断しやすくなる可能性があります。
一貫性がない
そのときの気分や短期的な利益を優先して物事を決定しがちなタイプです。世の中の出来事や、それによって生じる気分の変化は流動的なもの。いかに軸を持って決断できるかが大切です。
このタイプがリーダーの場合、部下は一貫性のない言動に苛立ちストレスを感じてしまいがちです。離職率が高くなってしまう可能性があるため、会社に損失をあたえるリーダーになりかねません。
失敗が怖い
決断力のない人は、失敗に対してとてもネガティブな感情を抱きがちです。しかも失敗が怖いため、これまでの行動から逸脱したことをせず、その結果、大きな決断をする場面に遭遇しないという、負のループに陥りがち。それではいつまでたっても、決断力が磨かれませんよね。
このタイプの人は、一度、なぜ失敗が怖いのかその理由となった出来事や、思い当たる節を紙に書きだしてみてもいいかもしれません。自分の気持ちを俯瞰することで、何らかの気づきが得られるはずです。
決断力を磨く方法
決断力のない人は、大きなチャンスが巡ってきても「挑戦する」という決断ができないため、チャンスを逃しがちです。必然的に悩む時間が多くなり、時間も浪費してしまうでしょう。さらに挑戦しないため、発見のない日々を送ることになります。
発見はビジネスの種。多大なる機会損失を招きます。
日々私たちは決断をしながら生きています。本来、決断力は誰にでも備わっている能力。さまざまな要因により、決断する力が的確に発揮できなくなってしまうのです。有効的に発揮するためには、どうすれば良いのか探っていきましょう。
自分主体で考える
人を信じやすい人に陥りがちですが「〇〇さんがいうなら大丈夫」と思い、決断を放棄してしまう人がいます。それは「相手に責任を転嫁する行為」と認識することが大切です。またSNSなどで有名な起業家の意見を鵜呑みにして、行動してしまう人もいるようです。
それも他者に意思決定を委ねているといえます。まずは主語を他者(YOU)にせず「I」にして考えることから始めてみるといいでしょう。
アンテナを張る
決断を迫られる際に必要なことの一つとして、選択肢への知識の有無があります。知識があれば困難ではない選択肢も、知識がないばかりに踏み出せない場合もあるのです。そのため日頃からあらゆる事柄にアンテナを張っておく必要があるわけです。
成功体験を積む
決断力は場数を踏むことで、より精度が上がる場合があります。たとえばリーダーになったことのない人がリーダーに抜擢された場合、あらゆるシーンで決断に自信が持てなくなってしまいがちです。しかし一度、ささやかでも成功体験が得られると自信が生まれ、その先へと進みやすくなります。
自分の価値観を明確にする
決断力を鍛えるためには、自分の価値観を知ることが大切です。「衣、食、住、遊び、学び、仕事、家族、人間関係、健康」のほか、必要と感じる項目ごとに、1~10位まで自分の大切にしていることを書き出してみるといいでしょう。自分の価値基準がわかるはずです。
同様の方法で、自分にとって必要のないものを書き出していってもいいでしょう。
「MUST」と「WANTS」を明確にする
紙に「絶対にしなければいけないこと(MUST)」と「したいこと(WANTS)」を書き出すと、本当に自分にとって必要な物事が見えてきます。「〇月×日までに」というくくりを付けて考えると、より明記しやすくなるでしょう。
日頃から周囲を観察しておく
たとえ決断力が秀でていても、実行ができなければ意味はありません。実行するためには、多くの場合人間関係が良好なほうが、より円滑に進みます。
そのため人間関係がどのように成り立っているか日頃から観察しておくと、決断する際に相談すべき人、情報提供者になり得る人などがわかってくるはずです。
実際に決断力が試される場に直面したら?
ビジネスにおいて重要な決断をしなければいけない場面に直面したら、どうすればいいのでしょうか。
まずは平常心を保つ
興奮状態や体調不良、寝不足などは、判断力を鈍らせます。そのため何かを決断する際は、心身ともに健康で平常心でいるときが理想です。ちなみに平常心とは「普段どおりに平静である心」を意味する言葉。しかし禅語では、若干違うニュアンスで使われます。
「平常心是道(びょうじょうしんこれどう)」という禅語があるのですが、これは「日常にはたらく心のあり方がそのまま悟り」という意味。要するに日常を大切にすることが大事なのです。日常的に冷静さを保っていることで、何か決断を迫られた際にも冷静に対処できるようになるといえます。
ゴールを明確にする
ビジネスでは多くの場合、大きな目的のために日々動いていています。しかし何らかの理由でゴールが曖昧になると、的確な判断ができなくなってしまいます。ゴールを設定し、人と共有しておくことが大切です。
優先順位を付ける
決断しなければいけない選択肢を洗い出し、優先順位をつけていく方法です。
ここで役立つのが、平常時に導き出しておいた「自分の価値観」です。仕事においては「会社のビジョン」となるかもしれません。この価値観を基軸に優先順位を付けていると、判断がしやすくなります。
メリット、デメリットを知る
自分の価値観を知ったうえで、選択肢のメリット、デメリットを抽出することで、決断がしやすくなります。
逆にいうと、メリットしか見えない状況での判断は危険な場合もあります。大きなメリットしか感じられない商談に見えても、実は蓋を開けると詐欺まがいの手口という場合もないわけでありません。メリットしか見えないときこそ、リスクも念頭に入れた決断が大切です。
直感は得意分野で活かす
自分の得意分野なら直感を信じてみるのも手です。得意分野の場合、成功体験がいくつかあり、データの蓄積があるはずです。
経験したことのない分野の場合は、経験値が少ないため直感を信じるのはリスクを伴います。まずは状況を判断して、優先順位などを付ける方法から始めるのが得策です。
ボーダーラインを決めておく
決断力が問われるシーンの中には、投資のように瞬時に状況を判断して決断しなければいけない場面もあります。そのようなときは「これ以上は手を出さない」という、ボーダーラインを決めておくと判断がしやすいでしょう。
その決断は「誰かの役に立つか」の視点を持っておく
アインシュタインの名言に「誰かのために生きることにのみ、人生には価値がある」というフレーズがあります。ビジネスにおいて「他者のためになる」という視点を持つことは、非常に重要。この視点が欠落すると、視野が狭くなるためアインシュタインの名言を心に刻んでおくといいでしょう。
異論を聞く土壌をつくっておく
リーダーがいつも正しい判断ができるとはいえません。中には人と話すことで、選ぼうと思っていた選択肢より有益な選択肢が見つかる可能性もあります。だからこそリーダーは、常日頃から自分に対して意見をいえる人材や、言える環境をつくっておく必要があります。
もちろんあくまでも「大切な決断をするのはリーダー」です。人の意見を聞き、それに従うばかりでは「決断力のないリーダー」になってしまいます。
強い反発が予測される場合は?
ドラッカーは物事を決定する際には「その決定の目的は何か」「達成すべき最低限の目標は何か」「満足させるべき必要条件は何か」などを明確にすると良いと言っています。
しかしそれをしても決断しかねる場合もあるでしょう。むしろどの決断をしても多くの反発が生まれてしまう、という厳しい選択を迫られることもあります。どちらに転んでも困難や反発が待ち受ける時は、どうしたらいいでしょう。
答えは簡単です。「悩んでも仕方ないから、もう悩まない」と腹をくくると決断するのです。決断を先延ばしして現状維持をするよりも、決断し、その決断の伝え方や処遇に注力すべきです。
たとえば退職者を募る場合を例にとって考えてみましょう。大手企業が大量退職者を募る場合、通常よりも手当を厚くし退職者にもメリットを出して退職を促します。もし何の通達や優遇もなく解雇通達をした場合は、訴えられる可能性もあり、大きな損害を生みかねません。
人々に大きな影響を与えかねない決断のときは、あらゆるリスクを想定した行動が必要となるわけです。
だからこそ「選択肢をどうするか」ばかりにとらわれるのではなく、伝え方や関係者へのフォローも視野に入れる必要性があるのです。
ではなぜ「現状維持」よりも、動いたほうが良いのでしょうか。
動いたほうが幸福度が高い
シカゴ大学の経済学者であり、『ヤバい経済学』(邦訳:東洋経済新報社)の著者でもある、スティーヴン・レヴィット氏が興味深い実験をしています。同氏は、人生の重要な選択の場面において迷っている人たちを呼び集め、バーチャルコイントスで人生の選択をするサイトを開設したそうです。
表が出たら人生の方向転換をし、裏が出たら現状維持をするという、シンプルなルールです。実験終了後、同氏が追跡調査をしたところ、人生の方向転換をした人のほうが、現状維持の人よりも幸福度が高かったそうです。
実験から現状維持よりも、動き出した人のほうが幸せがつかみやすいと分かったわけです。
ビジネスにおいて現状維持が大切な場合もあるでしょう。しかし「決断の先延ばしをして、現状維持をする」のと「戦略的に現状維持をしていく」では根本が異なります。
どうしても判断に困る場合は、決断を先延ばしするのではなく、動き出したほうが事態は変わっていく可能性が高まるといえるのです。
決断力を磨くには、自分を知ることが大切
決断力を磨くためには、まずは自分を知ることが大切です。日頃からじぶんの価値観を知っておくことで、いざと言うときに判断しやすくなります。とはいえ、仕事を遂行していくためには決断力だけが秀でていても意味がありません。普段から他者との関係性を構築していくことが重要です。